患者様の症状や病態によっては西洋薬で有効な薬がなかったり、基礎疾患や副作用のために西洋薬が使いづらかったりする場合があります。当院では漢方薬を用いた治療にも力を入れており、漢方専門医ではありませんが、必要に応じてまたは患者様の希望に応じて漢方薬を処方しています。多くの患者様に満足していただけるような相当の効果が得られています。 漢方薬の適応となりやすい症状の例としては以下のようなのもがあり、原則として当該の専門科で検査を受けたが異常がなかった患者様が適応となります。当院では内科領域に関しては検査が可能です。 ・だるい、疲れやすい、食欲がない、夏バテ ・動悸、息苦しい ・のどや胸の違和感 ・お腹が痛くなりやすい、張る、下痢しやすい ・手が震える(本態性振戦) ・足がつる ・手足が冷える ・顔がほてる ・更年期症候群 ・朝起きれない(起立性低血圧) 漢方薬がよく効いたケースの一部をご紹介します。 @ 40才台 女性 数週間前から動悸やそわそわする感じがする。眠りが浅く、顔がほてることある。心電図やレントゲン、血液検査は異常なく、更年期症候群と考えられた。 →加味逍遙散を処方。数日で動悸などの症状はあまり気にならなくなった。 A 70才台 男性 寝ているときに特に明け方によく足をつって痛くなり目が覚める。最近は毎日足をつる。血液検査は異常なし。 →芍薬甘草湯を寝る前に処方。内服した日から足をつらなくなった。 B 80才台 女性 もともとお腹が冷えやすく、下痢しやすい。2か月前から毎日下痢していて食欲が低下した。西洋薬は効果がなかった。高齢のため内視鏡検査は希望せず。 →真武湯を処方。1週間ほどで下痢はなくなり食欲も徐々に戻った。 C 70才台 女性 数か月前から疲れやすくだるさが強い。気力が落ち、食欲も低下してきている。血液検査などは異常なし。 →補中益気湯を2週間処方したが効果なし。十全大補湯に変更し1週間ほどで疲れやすさなどの症状は改善した。 D 10才台 男性 もともと胃腸が弱く、ストレスや疲労などで腹痛や下痢になりやすいため学校にいけない。以前にIBS(過敏性腸症候群)と診断された。 →西洋薬に桂枝加芍薬湯を併用。腹痛は軽減され学校に行けるようになった。 E 70才台 女性 10年ほど前から両手が震え、特に字を書くときに悪化するため字が書けない。脳外科にて頭部MRI検査などは異常なく、本態性振戦と診断された。西洋薬を複数試したが効果なし。 →抑肝散を処方。数週間後から手の震えが少し軽減し、字が書けるようになった。 いかがでしたでしょうか。漢方薬の効果は個人差が大きく、最初の処方が効かずに他剤に変更したケースや、さほど効果が見られずに漢方専門医に紹介したケースもあります。また一般的に漢方薬は副作用が出づらいとされていますが、まれに肝障害や低カリウム血症といった副作用が出ることもあるため、当院では原則として漢方薬を継続して内服している患者様には数か月おきに血液検査をしています。漢方薬を用いた診療は主に(月)(水)(木)(土)の通常の外来時間中に行っていますのでお気軽にご相談ください。 |